無加湿膜製造用の原料開発に成功
固体高分子型燃料電池では、現在パーフロロスルホン酸膜がプロトン伝導膜として用いられていますが、この膜は乾燥するとプロトンが伝導しないので、加湿器を用いて膜を加湿し、80℃付近で運転されています。そのため、純水製造装置や加湿器などの補機が必要であり、システムコストが高くなって、燃料電池の本格的な実用化の大きな障害となっています。
こうした欠点を解決するために、基体のポリベンズイミダゾールに、プロトン伝導用としてポリリン酸を含浸した無加湿膜が試作されており、120-150℃で数万時間の運転実績が報告されています。しかし、この無加湿膜では、運転中にリン酸が次第に飛散していく欠点があり、実用化が困難でした。
和貴グループでは、長い経験を持つフラーレンの化学修飾技術を生かして、ホスホン酸基を有する無加湿膜製造用の原料開発に成功しました。この原料を用いて得られる無加湿膜では、ホスホン酸基がプロトン伝導を行うため、ポリリン酸とは異なり運転中に飛散することがなく、実用的な無加湿膜を製造することが可能となります。
今回開発した原料の化学構造のイメージ図を次に示しますが、フラーレンに結合したイミダゾール基が隣のホスホン酸基の一つと錯体を作って構造的な安定化を図り、残りのホスホン酸基がプロトン伝導を行います。

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